1ドライブでOpenMediaVault(NAS)を構築する
openmediavault(以下OMVと記述)を1台のドライブ(ストレージ)で構成する方法です。通常は、2台のドライブで構成するのがスタンダードですが、あえてチャレンジしてみました。
追記(2023.07.17): 更新投稿「openmediavault シングルドライブ構成」をご覧ください。
OMVは、お手軽にNAS(Network Attached Storage)を構築できるフリーのソフトです。 OMVに必要なハードウェア条件は、OMVサイトのPrerequisitesに記載がありますのでご覧ください。(以下の日本語訳は参考です。2018.06.29時点の情報を元にしています)
- CPU: x86、x64やARMの互換プロセッサー
- RAM: 1 GiB以上
- HDD:
- システム用ドライブ: 4 GiB以上
- データ用ドライブ: 必要となる容量
この条件なら、3~4年前の大抵のPCでも問題なく満たす(仕様)条件に見えます。しかし、ドライブ(ストレージ)に関しては注意が必要です。OMVサイトのPrerequisitesから、最低2台が必要になることがわかります。以下の箇所です。
The entire disk is used as system disk and can not be used to store user data.
1台のドライブをOMVシステム用とユーザーデータ格納用の両方に使うことは出来ない、ことが記述されています。ですから、通常はOMVシステムをインストールするドライブはUSBフラッシュ、ユーザーデータ用ドライブはPC内蔵のHDD、のような2ドライブで構成することになります。
これを1台のドライブ(HDD等)にまとめる、というのが今回のトピックです。
注:ドライブを2つのパーティションに分けておいてから、OMVをインストールする方法では実現できません。
実はOMVのForum「How to partition and use OMV system disk for user data」に方法が記載されています。❼の箇所です。しかし、文字のみの説明であることに加え、3)に記述されているswapの移動の仕方が不明確です。ここでは、スクリーンショットを入れて詳しく説明します。
なお、OMVのインストールや設定は他サイトの情報をご参考ください。ここでの説明はOMVシステムを1台のHDDにインストールした後の操作になりますので、ご了承ください。
GParted Live CDの用意
パーティショニングのツールです。これを使って、OMVシステム用とユーザーデータ用の領域を1台のドライブ上に作成します。OMVとして使用するCPUアーキテクチャーにあったGParted Live CDを下記からダウンロードします。この作業は、OMVをインストールしたシステム以外で行います。
GParted Live CDのダウンロード先は、http://gparted.sourceforge.net/download.php になります。
OMVで使用するCPUが64ビットなら「Download_gparted-live-0.31.0-1-amd64.iso」を、32ビットなら「Download_gparted-live-0.31.0-1-i686.iso」を入手してください。
iso形式ですからCD-Rに焼くか、rufus等を使ってUSBフラッシュから起動できるよう処理しておいてください。ここでの説明はCD-Rの使用を前提で進めます。
BIOSでDVD/CDドライブの起動優先順位を上げる
OMVをインストールしたシステムで行う作業です。システムの起動ドライブの優先順位を変更して、DVD/CDドライブの優先順位をOMVをインストールしたドライブよりも上位にします。
BIOSDVD/CDドライブから起動する操作は、過去の記事「 レスキューディスク起動設定編(マルウェア感染への対応準備)」に例がありますので、ご参照ください。
GPartedでの操作
OMVをインストールしたシステムで行う作業になります。DVD/CDドライブにGParted Live CDをセットして、このCDから起動します。
GPartedの起動では、何種類かの質問項目に答えます。その項目への入力はテキストベースで説明しておきます。「Select keymap from arch list」→「qwerty」→「Japanese」→「Standard」→「15」→「0」の順に入力します。
日本語環境にセットすると以下のGParted操作画面になります。
1. | ![]() |
OMVを40GBのディスクにインストールした例。領域のほとんどが空き状態 |
2. | ![]() |
パーティション「/dev/sda1」を選択(クリック)し、上部の「リサイズ/移動」マークをクリック |
3. | ![]() |
マウスのドラッグ操作か「新しいサイズ(MiB)」の箇所に数値を入力して、パーティションの大きさを変更 |
4. | ![]() |
ここでは8MiBにして、「リサイズ/移動」ボタンをクリック(確定) |
5. | ![]() |
つづいて、パーティション「/dev/sda2」を選択(クリック)し、上部の「リサイズ/移動」マークをクリック |
6. | ![]() |
マウスでドラッグ操作するか、「前方の空き領域(MiB)」の値を「0」にセットして、パーティションを拡大 |
7. | ![]() |
この状態にして、「リサイズ/移動」ボタンをクリック(確定) |
8. | ![]() |
パーティション「/dev/sda2」の容量が、32.19GiBに拡大 |
9. | ![]() |
パーティション「dev/sda5」を選択(クリック)し、swapが選択されていることを確認。上部の「Copy」マークをクリック |
10. | ![]() |
パーティション「未割り当て」を選択(クリック)し、上部の「Paste」マークをクリック |
11. | ![]() |
「Paste」ボタンをクリック(確定) |
12. | ![]() |
パーティション「/dev/sda5」を選択(クリック)し、旧swapが選択されていることを確認。上部の「Delete」マークをクリック |
13. | ![]() |
「Delete」ボタンをクリック(確定) |
14. | ![]() |
旧swapが削除され新swapが1個だけあることを確認。パーティション「/dev/sda2」を選択(クリック)。次に上部の「リサイズ/移動」マークをクリック |
15. | ![]() |
マウスのドラッグ操作、または「新しいサイズ」の値を調整して最小化 |
16. | ![]() |
この例では、「新しいサイズ(MiB)」は「1023」。「リサイズ/移動」ボタンをクリック(確定) |
17. | ![]() |
パーティション「未割り当て」を選択(クリック)し、上部の「New」マークをクリック |
18. | ![]() |
サイズは変更せず、「ファイルシステム」も「ext4」のまま。「ラベル」はブランクでも構わないが、この例では「omvshare」を入力。そして「Add」ボタンをクリック(確定) |
19. | ![]() |
これまでの操作が保留されている。上部にある「Apply」マークをクリック |
20. | ![]() |
全操作を適用するので、「Apply」ボタンをクリック(確定) |
21. | ![]() |
保留されていた操作が開始 |
22. | ![]() |
操作が完了したら、「Close」ボタンをクリック |
23. | ![]() |
新しいパーティション「/dev/sda3」の作成が完了。これをOMVのユーザーデータ領域として使う |
24. | ![]() |
念のため、パーティション「/dev/sda1」のファイルシステムをチェックするため、「/dev/sda1」を右クリックして、メニューの「チェック(H)」をクリック |
25. | ![]() |
念のため、パーティション「/dev/sda3」のファイルシステムをチェックするため、「dev/sda3」を右クリックして、メニューの「チェック(H)」をクリック |
26. | ![]() |
保留している操作を実行するため、上部の「Apply」マークをクリック |
27. | ![]() |
「Apply」ボタンをクリック(確定) |
28. | ![]() |
操作の実行 |
29. | ![]() |
完了したら、「Close」ボタンをクリック(確定) |
以上で、GPartedの操作は終了です。以下でGPartedを終了させ、OMVを起動させます。
30. | ![]() |
左上の「GParted(G)」メニューから「Quit」 |
31. | ![]() |
「Exit」アイコンをダブルクリック |
32. | ![]() |
「Reboot」→「OK」 |
33. | ![]() |
GParted Live CDメディアをDVD/CDドライブから抜き取り、「ENTER」キーを押して再起動 |
上記までの操作でOMVが起動しますが、もしOMV起動時にファイルシステムが「UNEXPECTED INCONSISTENCY」エラーとなった場合の処置を記載します。エラーが発生しなければ以下の操作は不要です。
![]() | |
プロンプト「(initramfs)」にコマンド「fsck -y /dev/sda1」を入力 |
![]() | |
この例では2度「fsck -y /dev/sda1」を実行。正常終了したら、コマンド「exit」を入力するとOMVが起動 |
34. | (このステップは、下の35で「/dev/sda3」が認識できないときに行う操作。OMVのGUIで、ファイルシステムとして「/dev/sda3」が認識できれば不要) OMVシステムのターミナルにログインプロンプトが表示されたら、rootでログインし、コマンド「mkfs.ext4 /dev/sda3」を入力 |
35. | ブラウザー経由でOMVのGUI管理画面にログインして、メニューの「ストレージ」→「ファイルシステム」と辿り、「/dev/sda3」を追加。 もし、「/dev/sda3」が表示されないときは、ステップ34の操作を実行してから再度行う |
これで、HDD1台のNAS(File Server)が完成です。古いPCの有効活用をしたいとき、NASもその対象にしてはいかがでしょうか。
上記の操作を行えば、古いPCにOMVをインストールしてNAS(File Server)にするとき、別途HDDの追加を考慮しなくても済みます。ただし、OMVの推奨構成ではないことに留意してください。
OMVのインストールや操作については、多くの情報があります。例えば以下です。
- http://joichi.dip.jp/wordpress/?p=11961
- http://linuxandxx.blog.fc2.com/blog-entry-58.html
- http://eco.senritu.net/openmediavault_install_and_settings/
すべての記事をまとめた★カテゴリーごとの全記事一覧★がありますのでご覧ください。
≪ ローマ字入力のちょっとしたコツ | HOME | Network Port Teaming 再び! ≫
こんにちは。当ブログ記事をご参照いただき誠にありがとうございます。
この記事で使用したopenmediavaultは、4.1.3です。ダウンロードもとですが、
https://sourceforge.net/projects/openmediavault/files/4.1.3/
の中にある「openmediavault_4.1.3-amd64.iso」となります。
よろしくお願いいたします。
現在職場で読んでおりますので、帰宅したら速攻でやってみます。
当方rock64にインストールしたいので、ご案内のサイトの OMV_4_Rock64.img.xz というイメージを使っておりました。
一刻も早く帰りたい気持ちでいっぱいです。結果は改めてご報告いたします。
当方の環境は、いわゆる Single Board Computer なので
rufus を使ったりやってみたのですが openmediavault_4.1.3-amd64.iso からの
インストールするにはスキルが不足して、うまくいきませんでした。
せっかくアドバイスを頂いたのにすいません。
ご報告ありがとうございます。お役に立てなく済みません。
こちらでは、Single Board Computer(SBC)の環境がありませんので試すことはできませんが、openmediavault_4.1.3-amd64.isoは、ROCK64用のOMVではないのでインストールできないと思います。
以下は既にご存じの情報かも知れませんが、ご参考まで。
ROCK64の機能や構造には詳しくないのですが、
https://forum.openmediavault.org/index.php/Thread/23323-Rock64-media-board/
が参考になるかも知れません。その中の情報ではROCK64用のOMVイメージは以下の箇所あります。
https://github.com/ayufan-rock64/linux-build/releases/
stretch-openmediavault-rock64........xz、のいずれかだと思います。
日本の情報としては、「Rock64でコンパクトなNASを構築」と「Rock64のUSB HDDから起動できたOSは」でOMV構築が紹介されています(以下のURL)。
http://denor.daa.jp/rock64%E3%81%A7%E3%82%B3%E3%83%B3%E3%83%91%E3%82%AF%E3%83%88%E3%81%AAnas%E3%82%92%E6%A7%8B%E7%AF%89-openmediavault
http://denor.daa.jp/rock64%E3%81%AEusb-hdd%E3%81%8B%E3%82%89%E8%B5%B7%E5%8B%95%E3%81%A7%E3%81%8D%E3%81%9Fos%E3%81%AF
以上、ご参考まで。
Single Drive で構成できたとのご連絡をいただきありがとうございます。5年ほど前の投稿ですので、OpenMediaVault も Gparted live もバージョンアップしていると思います。私も機会を見つけて、最新バージョンの OpenMediaVault で Single Drive 構成を試してみます。
QNAP 製品には、MOSFET 交換の情報もあるのですね。勉強になりました。
こちらこそよろしくお願いします。
こちらを参考にドライブ1台でovmを運用したいのですが、私のインストールしたHDDにはswap partion が無く、こちらで案内された構成と違います。
よろしければ、こちらの例でインストールされたovmのバージョンを教えて下さい。(できればダウンロード元も)
よろしお願いします。