すご~く基礎的な単位の話
ストレージの容量を表す単位の話です。
前回の投稿記事で、163 Zetta Byte(ゼタバイト)というデータ量を示す比喩的な話題を書きました。ついでなので、容量を示す単位へと話を続けます。
コンピュータ(PCを含めて)のデータ容量を表す単位としては、2種類使われていることはご存じでしょう。そして、これが面倒なのです。例の「1TBのHDDを買ったのに、容量が900GBちょっとしかない」という混乱を起こします。
先ず、情報量の単位表を示します。
これは国際単位系のSI接頭辞(10のべき乗を使用)と2進接頭辞(2のべき乗を使用)の単位系の表です。ストレージ製品の仕様で記載されている容量は、SI接頭辞の単位で示されています。一方CPU(キャッシュ)やメモリーで使われるのは、2進接頭辞の単位となります。
そのため、ストレージ容量を確認するときには注意が必要になります。ストレージ容量をコンピュータ(CPU)が2進数ベースで表示するため起こる、前述の「1TBのHDDを買ったのに、容量が900GBちょっとしかない??」的な謎を理解しましょう。
例を挙げて計算で示すのがわかりやすいと思います。Windowsでストレージの「プロパティ」を表示させてください(以下は私のWindows 10環境の例です)。
例1:「容量1TBのHDD」として販売されていたドライブのプロパティです。
①の箇所にある数値は、10進数ベースの容量です。
1,000,203,087,782バイト=1.000203087782×1012≒1.0×1012バイト
となっています。上の表で1012は1Tですから、確かに1TBです。しかし、②の箇所にある数値では、「931GB」と表されています。普通、この値を見て『あれ~? 1TBじゃない!』と訝ることになります。
この「931GB」というのは、2進数ベースで示した数値なのです(ご存じかとは思いますが)。ですから、本来は「931GiB」と表示されるのが良いのです。
1,000,203,087,782バイトを2進数ベースのGiB単位で示すには以下の計算をします。
1000203087782 ÷ 230 ≒ 9.3151×1014=931.51×1012 ⇒ 931GiB
ここで小数第1位目を四捨五入して、932GiBにしないことにも注意です。このHDDに931GiBのデータ量は格納できますが、932GiBのデータ量は格納しきれないからです。四捨五入してはいけません。切り捨てが基本です。
例2:「容量160GB」のHDDとして販売されていたドライブのプロパティです。
上の例1と同様の計算をします。①の値を確認します。
163,925,979,136=163.925979136×109(≒ 163GB)
163GBの容量です。続いて2進数ベースで値を求めます。
163925979136 ÷ 230≒ 152.668 ⇒ 152GiB
これが、②の値の意味するところです。
蛇足ですが、上記の計算はGoogleの検索ボックスで答えが求められます。式の「÷」 は 「/」、べき乗は「^」に置き換えて入力します。具体例を以下に示します。
1000203087782 ÷ 230 ⇒ 1000203087872/2^30
163925979136 ÷ 230 ⇒ 163925979136/2^30
矢印の右にある式をGoogle検索ボックスに入力すると答えが表示されます。
もう一つ、本記事の最初に掲載した表にある右欄の「SIと2進数の差」の求め方も例で示します。
「SIと2進数の差を求める」(PBとPiBの場合の例)
最初の表から、1PiB=250 そして 1PB=1015 を読み取り、以下の計算をします。
(250 - 1015)÷ 1015 ≒ 12.6%
Google検索ボックスでは、以下の式を入力します。
(2^50-10^15)/10^15
他のKBとKiB、MBとMiBやGBとGiBなどについても、同様にして計算できます。
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