性能を上げるなら、置き方が重要
Use LTO-8 Drive on Horizontal, Not Vertical Orientation Altering by 3X Writing Performance
上記は、2021年2月24日(米国時間)StorageNewsletter.com に掲載されたプレスリリースの原題です。上記リンクの記事は、多分3月3日以降、定期購読者のみがアクセスできるようになりますので、定期購読契約をされてないが記事に関心をお持ちの方はこの期間内にアクセスしてください。以下、概要と結論をお伝えします。
概要:
テープドライブの好ましい取付方向については、数十年にわたって議論されている。明らかにドライブの取付方向は、ヘッドがアクチュエータに吊り下げられているか、またはガイド上にあるときで、サーボループの性能に影響を与えるヘッドの質量を変化させる。
結論:
LTO-8 ドライブを垂直方向に取り付けた場合、水平方向に取り付けた場合よりも性能が低下した。TDD(Tape Drive Doctor)は、繰り返しのテストで、ドライブを垂直方向に取りつけると水平方向に取り付けた場合に比べて、最大3倍遅い性能を測定した。
さらに、ドライブの書き込みサーボスキップが1桁増加したことも報告された。サーボスキップ数が多いことは、カートリッジ容量の損失が大きくなり、LTO-8 ドライブの総使用可能容量が減少する可能性があることを示している。LTO-8 ドライブは水平方向(横置き)に取り付けることを推奨する。
横置き(水平方向)と縦置き(垂直方向)で性能変化の要因として考えられることは、以下ということです。
『テープがリールに巻き取られるときのテープ横方向動作の動力学に影響を与える可能性があり、ヘッドとテープのインターフェースも繊細な R/W 性能に影響を与える可能性がある。』
いつものことで恐縮ですが、上記の記載内容は独自の理解と個人的な見解であり、間違いがないことを保証するものではないことをご了承ください。
以上
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すご~く基礎的な単位の話
ストレージの容量を表す単位の話です。
前回の投稿記事で、163 Zetta Byte(ゼタバイト)というデータ量を示す比喩的な話題を書きました。ついでなので、容量を示す単位へと話を続けます。
コンピュータ(PCを含めて)のデータ容量を表す単位としては、2種類使われていることはご存じでしょう。そして、これが面倒なのです。例の「1TBのHDDを買ったのに、容量が900GBちょっとしかない」という混乱を起こします。
先ず、情報量の単位表を示します。
これは国際単位系のSI接頭辞(10のべき乗を使用)と2進接頭辞(2のべき乗を使用)の単位系の表です。ストレージ製品の仕様で記載されている容量は、SI接頭辞の単位で示されています。一方CPU(キャッシュ)やメモリーで使われるのは、2進接頭辞の単位となります。
そのため、ストレージ容量を確認するときには注意が必要になります。ストレージ容量をコンピュータ(CPU)が2進数ベースで表示するため起こる、前述の「1TBのHDDを買ったのに、容量が900GBちょっとしかない??」的な謎を理解しましょう。
例を挙げて計算で示すのがわかりやすいと思います。Windowsでストレージの「プロパティ」を表示させてください(以下は私のWindows 10環境の例です)。
例1:「容量1TBのHDD」として販売されていたドライブのプロパティです。
①の箇所にある数値は、10進数ベースの容量です。
1,000,203,087,782バイト=1.000203087782×1012≒1.0×1012バイト
となっています。上の表で1012は1Tですから、確かに1TBです。しかし、②の箇所にある数値では、「931GB」と表されています。普通、この値を見て『あれ~? 1TBじゃない!』と訝ることになります。
この「931GB」というのは、2進数ベースで示した数値なのです(ご存じかとは思いますが)。ですから、本来は「931GiB」と表示されるのが良いのです。
1,000,203,087,782バイトを2進数ベースのGiB単位で示すには以下の計算をします。
1000203087782 ÷ 230 ≒ 9.3151×1014=931.51×1012 ⇒ 931GiB
ここで小数第1位目を四捨五入して、932GiBにしないことにも注意です。このHDDに931GiBのデータ量は格納できますが、932GiBのデータ量は格納しきれないからです。四捨五入してはいけません。切り捨てが基本です。
例2:「容量160GB」のHDDとして販売されていたドライブのプロパティです。
上の例1と同様の計算をします。①の値を確認します。
163,925,979,136=163.925979136×109(≒ 163GB)
163GBの容量です。続いて2進数ベースで値を求めます。
163925979136 ÷ 230≒ 152.668 ⇒ 152GiB
これが、②の値の意味するところです。
蛇足ですが、上記の計算はGoogleの検索ボックスで答えが求められます。式の「÷」 は 「/」、べき乗は「^」に置き換えて入力します。具体例を以下に示します。
1000203087782 ÷ 230 ⇒ 1000203087872/2^30
163925979136 ÷ 230 ⇒ 163925979136/2^30
矢印の右にある式をGoogle検索ボックスに入力すると答えが表示されます。
もう一つ、本記事の最初に掲載した表にある右欄の「SIと2進数の差」の求め方も例で示します。
「SIと2進数の差を求める」(PBとPiBの場合の例)
最初の表から、1PiB=250 そして 1PB=1015 を読み取り、以下の計算をします。
(250 - 1015)÷ 1015 ≒ 12.6%
Google検索ボックスでは、以下の式を入力します。
(2^50-10^15)/10^15
他のKBとKiB、MBとMiBやGBとGiBなどについても、同様にして計算できます。
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テープ屋さんの悩み
テープストレージに関わるエンジニアやベンダーの悩みの話です。
『ITインフラ構築を生業とする販売代理店やSI等のエンジニア、セールス、商品企画者や企業のインフラ担当者からは、最新の「テープストレージ、テープテクノロジー」がほとんど(全く)認識されていない』のです。
テープストレージは今でも進化を続けています。「ハイテク」の産物であり、その結果、高性能化しているのですが・・・・・。
上記の業界人を3つの世代層に分けて、テープがどのように把握されているかを表にしてみます。
上記は、あくまでも個人的な判断ですが傾向としては合っているような気がします。
この表の結果をみると、どの世代層からも正当な評価を受けていないことになります。
このような結果になったひとつの原因として、過去(25年ほど前?)、某外資企業による『Tape is Dead!』の強烈なプロパガンダがあったことが考えられます。これに洗脳されてしまった人々が当時どれほど多くいたことか! 今でもそれが尾を引いている気がします。
現在の状況としては、
- 若い世代は、テープストレージを知らない
- シニア世代はテープを知っているが、昔のテクノロジーしか知らない
全体として、正確な知識を持ち得ない環境・状況になっているのです。
シニア層が持っているテープの知識の代表的なものは以下でしょうか。昔の古い知識をベースにしたイメージが抜け切れていないのですね。
- スピードが遅い
- すぐメディアがよれよれになってデータが読めなくなる
- 磁気転写を起こしデータが読めなくなる
- 保管したテープはときどき巻き直しが必要だ
- メディアを出したり入れたりが手間がかかる
- テープのデータを読み書きするには高価なアプリが絶対必要
テープは決して「ローテク」ではありません。古い概念を捨てて、この機会にテープテクノロジーの最新情報に触れてみてはいかがでしょうか。
読みやすい資料が数多くJEITAのサイトにまとまって紹介されています。手始めに読むとしたら、「テープストレージ動向-2017版-(pdf)」をお勧めします。
Tape Storage Is Not Dead!
LTO-8 販売開始
参考:IBM社のプレスリリース(リリース文にリンク)IBM TS4500 Tape Library supports LTO Ultrium 8 tape drive technology
- 非圧縮時最大転送速度:360MB/秒(圧縮時最大転送速度:900MB/秒)
- 非圧縮時最大容量:12TB/カートリッジ(圧縮時最大容量:60TB/カートリッジ)
実際のテープの使用例は?
テープはこれからも使われるの? 将来性は?
世界をリードする「日本発」の技術
■ 2015年:テープはディスクのおよそ「1/2 ~ 1/8」
テープドライブ・テープメディアの互換性
データ駆動型社会を支えるデータアーカイブ
以下のページの執筆記事項目にある「データ駆動型社会を支えるデータアーカイブ」をご覧ください。
リンク先:
y-vern-is.com/articles/
LTOテープドライブの省エネルギー性能はどれだけ向上したか?
以下のページの執筆記事項目にある「LTOドライブの省エネルギー性能はどれだけ向上?」をご覧ください。
リンク先:
y-vern-is.com/articles/